映画 水で書かれた物語 (1965)

    美人を母をもつ静雄に縁談が持ち上がる。静雄は結婚相手の社長令嬢ゆみ子と車でデートするがゆみ子に旅館へ連れ込まれる。静雄は結婚までは止そうと言って帰ってくる。仕事の付き合いで芸者遊びをする静雄は芸者に部屋に連れて行かれ酔った勢いで寝てしまう。静雄の勤める銀行ではゆみ子はバージンでないという怪文書が出回っている。

   静雄は幼少時に妾の子と言われた経験がありその事で母に打たれた事を思い出す。だからゆみ子と寝れないのだ。ある日母に社長との関係を問い質す。母は否定せずわかってくれるわねと言う。静雄には許せない気持ちがある。ゆみ子と異母兄弟かもしれないとも言う。

    社長と母は少し前からよりを戻していた。社長と関係を持ちながら病死した夫の事を思い出しては暗い表情になる。一方静雄の方もゆみ子と寝る。もう結婚したのだ。寝た後に温泉に入りふざける。夜支店長が現れて静雄を係長に昇進させるという。やもめの支店長は誰か結婚相手を紹介してくれといいながらゆみ子に襲いかかる。助けてくれなかった静雄の事をなじるゆみ子。静雄は同居の社長のせいで欲望が無くなったと告白する。ゆみ子はアパートを借りて出ましょうという。   

    アパート生活を始めた静雄は実家に帰り母に支店長と結婚しては?と持ちかけるが母は即座に否定する。母が静雄に子供の事を聞くと子供は欲しくないという。静雄は母に社長とは別れてくれと言い帰って行った。どうやら母親をめぐっての社長と静雄の三角関係がこの映画の主題であることが明らかになった。静雄がアパートに帰るとゆみ子は男を家に入れてキスをしていた。その事で大喧嘩になり静雄は社長と母の関係もばらす。ゆみ子は実家に帰ってしまった。   
 
    社長と静雄が車中で会話する。男同士で話したいと言う。最初は穏やかに話していたが静雄の方が社長の事を非難すると社長は激昂し車は事故を起こす。静雄は病院に運ばれるが社長はかすり傷で済んだ。静雄は銀行をやめその足で妻のいるアパートに行き窓から覗いている。妻は爪の手入れをしていた。その日は遅くまで飲んで実家に帰って行った。母が睡眠薬を飲んで先に休むのをしばらく無言で見つめていた。母と寝る事を想像したのだろう。

    母が夢を見たという。入江に夕日が掛かっていたと言う。静雄は母に心中しようと言う。静雄はこれを道ならぬ恋として見ているわけだが母は別にそう見ているわけではない。

   翌日日傘をさして外出する母。社長との逢瀬だった。ゆみ子は静雄に呼び出されて旅館で会う。情熱的なキスをして抱き合う二人。やはり嫉妬にかられた静雄は母を探しに出て行く。ゆみ子も探すが旅館の女将は母と社長は山奥の温泉に行ったと言う。二人がタクシーで湖畔に行ってみると車の中で社長が死んでおり、母は行方不明である。ボートに乗り湖を捜索する二人。草履と日傘を見つけ静雄は泣き崩れる。これで映画は終わり。

   これで一体どうなるのかとも思うが子の幸せを願う母の愛が示されているのだろう。