映画 身代金 (1996)

メル・ギブソン主演の身代金誘拐事件を扱った映画である。航空会社社長のトム(メル・ギブソン)は妻との間にショーンという男の子がいて裕福な暮らしをしていた。トムに恨みを抱いていた犯人グループはショーンを誘拐し200万ドルを要求する。FBIが間に入るが現金の受け渡しに失敗しショーンの命が危なくなる。二度目の受け渡しの時トムの気が変わり、テレビ局のスタジオから犯人に宣言する。子供を解放するか、200万ドルの懸賞金でお前らの首を取りにゆくかどちらかを選べと言う。

一瞬立場が逆転したかのような錯覚に陥るが、状況はそんなに変わっていない。犯人グループが冷静なら、或いは金に執着しないのなら犯人側が圧倒的に有利な筈である。FBIは身代金を払えと説得して来るが、どちらが正しいか誰にもわからない。結果が判定してくれるだけだが、これは映画なので結果はやはりフィクションである。

犯人からの電話で押し問答となり犯人がキレてショーンに拳銃をぶっ放すというシーンがある。これでトムの負けという雰囲気が漂うのだが、主犯の男がこの後方針を変え、仲間を全員射殺し、自分は刑事だと言い通報するのである。実際に犯人は現役の刑事だった。

ショーンは無事に帰り、400万ドルが犯人に支払われる。だが家にやってきた犯人を見てショーンが怯えるのに気づいたトムは事情を理解し、結局犯人は銀行の帰りに射殺されて終局に至る。

印象としては、この映画は各シーンが明示的すぎて深みに欠ける感じがした。