映画 ブリット (1968)

  1960年代のシカゴの夜の街。ギャング団が事務所を襲う。ジョン・ロスという男が襲撃を逃れ逃亡する。兄のピート・ロスが責任を取らされ刺客として弟を追う事になる。

サンフランシスコのホテル。車でサンフランシスコまで逃げてきたジョンはメモの指令どおりマークホプキンスホテルで手紙を受け取りタクシーに乗った後チャルマース上院議員に電話する。ここまでがプロローグである。

  土曜日の朝のアパートの寝室。同僚のスタントンが訪ねてきて主人公のブリット警部補(スティーブ・マックイーン)を起こす。二人が訪れたのはパーティー会場である。ここでブリット警部補はチャルマース上院議員に面通しされ公聴会の証人の40時間の警護を依頼される。ダニエルズ・ホテルの634号室に証人はいると言う。早速同僚とホテルを訪れ証人に接触し問題点をチェックし交代で部屋に常駐する事になる。

  ブリットは恋人のオフィスへ向かい休日を楽しむ。二人はカンタータという店でジャズフルートの生演奏を聴きながら食事をする。ブリット警部補は無口だが笑顔が爽やかな好男子である。二人でベッドを共にした後、スタントンから異常なしという電話が入る。

  夜中のホテル。チャルマースと名乗る二人連れの男が面会に訪れる。スタントンがブリットに指示を仰ぐ。ブリットは部屋に入れるなと言いホテルに急行する。証人は何故か部屋のロックを刑事に見られないように外す。すると急にドアが開き散弾銃を持った男が乱入し刑事を撃つ。証人に銃を向けると証人は驚いたような顔をするがそのまま胸を撃たれる。これは警護側の大失態だが何か変である。実は証人はここで逃がしてもらいホテルで待っている女とローマに行く手はずだったと推測できる。

この時の刺客は兄のピートと運転手である。刑事の方は足の手術を受け無事だったが後遺症が残るようだ。証人は重体である。ブリットが病院に張り付いて警護しているとアイスピックを持った刺客が現れるがすぐ逃走する。ブリットが追うがとても逃げ足が速い。早朝、重体だった証人が死亡する。

  ブリットは窮地に立つ。取り敢えず証人が死んだことは伏せてもらって犯人追跡の為ブリットはムスタングに乗り日曜のサンフランシスコに繰り出す。現場検証、聞き込みと地味な手法だが犯人の身長と髪の色がわかってくる。裏情報からジョンが200万ドル横領したことも知る。するとダッジチャージャーに乗った刺客と運転手がこちらを見張っていてムスタングを尾行してくる。気づいたブリットは相手の車の後ろに回り激しいカーチェイスを展開する。ダッジチャージャーはガソリンスタンドに突っ込み炎上し犯人らは死亡した。

  ますます窮地に立つブリットだが残りの半日で少ない手がかりから事件の全貌を明らかにしてしまう。証人がホテルから電話した相手がサンダーバード・ホテルにいるという。ブリットが恋人の車でホテルに向かうと女はすでに惨殺死体となっていた。だが女の荷物には20万ドルのチェックと航空券が入っていた。死んだ男はレニックという別人でありそのことはファクシミリで確認した。ブリットとデルゲッティ刑事は空港に向かいローマ行きの便をチェックするがレニックになりすましたジョンは現れない。そのときロンドン行きの便が飛び立とうとしていた。ブリットは管制塔に連絡してもらい飛行機は地上で待機、乗客は機外へ出る事になる。果たしてその便に乗っていたジョンは乗降口から飛び降りて走り出す。追いかけるブリット。空港ロビーまで逃げたジョンは出口のところでブリットに射殺された。

  証人保護プログラムが無かった時代なのか警護を刑事に任せるというのは失敗の元だった。結末で証人を敢えて殺したのは上院議員の為なのかその逆なのかよくわからなかった。いずれにせよブリットの失態として処理されそうだ。