夢のオーディオシステム(26)

Ambitus、L'Oiseau-Lyreまで来た。この辺がこの行程のハイライトだろう。リストのVia Crusisは他にCDを二枚持っているがこの盤が一番いい。バッハのコラールが出てくるところがえもいわれぬほど美しい。ヘンデルのオラトリオでは何も不自然なところがないオーディオとは思えない音楽が鳴っている。

東洋文庫 日本霊異記 (800年ごろ)

平城京薬師寺僧侶、景戒の記した説話集で話には奈良時代以前及び奈良時代の人物が登場する。雄略天皇と雷(いかづち)の有名な話「雷を捕らえた栖軽の墓」が上巻第一に出てくる。上巻第四には聖徳太子の有名な逸話が出てくる。上巻第二十八には役小角(えんのおづぬ)の話が出てくる。役小角は仏法と孔雀王呪経を修め不思議な術が使えるようになった。空を飛んだり鬼神を意のままに使ったと言う。中巻第二十九、第三十には行基の徳の高い行いについて述べてある。

時代背景として仏教の大躍進が窺われ、徴税や兵役に苦しむ庶民が描かれ、全体の基調として善行を積む様勧めている。今昔物語にはこの本から多くの話が引用されている。

東洋文庫 木葉衣 他 行智 (1800年ごろ)

これは修験道の教本であり、著者の行智は修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)について『続日本紀』『扶桑略記』『日本霊異記』を引用して述べている。なかなかの博識と言えるだろう。修験道葛城山の山道の往還から始まった。『古事記』『日本記』『続日本記』に葛城山における天皇の狩猟に際してのエピソードが多く記されている。

テキストだけあって用語の由来、装束、伊良太加数珠、法螺、斧、錫杖についての詳しい解説がある。理論が述べられているわけではなく、和歌の引用が多く載っておりどちらかと言うと教養のためのテキストである。修験道が日本古来の宗教であることが納得できる内容である。