東洋文庫 日本霊異記 (800年ごろ)

平城京薬師寺僧侶、景戒の記した説話集で話には奈良時代以前及び奈良時代の人物が登場する。雄略天皇と雷(いかづち)の有名な話「雷を捕らえた栖軽の墓」が上巻第一に出てくる。上巻第四には聖徳太子の有名な逸話が出てくる。上巻第二十八には役小角(えんのおづぬ)の話が出てくる。役小角は仏法と孔雀王呪経を修め不思議な術が使えるようになった。空を飛んだり鬼神を意のままに使ったと言う。中巻第二十九、第三十には行基の徳の高い行いについて述べてある。

時代背景として仏教の大躍進が窺われ、徴税や兵役に苦しむ庶民が描かれ、全体の基調として善行を積む様勧めている。今昔物語にはこの本から多くの話が引用されている。