映画 はなれ瞽女おりん (1977)

  話を盛り込みすぎ、明示しすぎな点を除けば、映像美と格調の高い音楽、俳優陣の過不足ない演技、照明やカメラワークなど技術的に称賛に値する映画である。又、伝統文化を後世に伝える役目も十分果たしている。

 前半は盲目の少女おりんの生い立ちから、禁を犯して追放されるまでを描いているが、出来事を忠実に追っているだけに緊張感と息苦しさがあった。観るのが苦しかったが、後半から一人旅ではなくなり男(原田芳雄)、次いでたま(樹木希林)と一緒に旅をするようになるので、ロードムービー的なほっとする雰囲気が出てくる。

 結局のところ陰惨な話が多かったが、紹介されている伝統文化が多種多彩で、宴会芸から当時の大道芸、新内流しの二挺三味線まで出て来て見どころが豊富であった。