映画 アフガントラップ (2010)

   2010年のアフガニスタンに駐留中のフランス軍の話。多国籍軍は14万もの兵を派遣しながら活動は行き詰まっており政治的妥協の道が模索されていた。フランス軍は村の族長を訪ね要望を聞くという作戦で地上軍を移動させる。国道を慎重に走ってゆくがタリバンの襲撃に遭い衛生兵のナディアら数名が捕虜になる。男の兵士はすぐ処刑された。ナディアは声明を読むビデオを撮られ解放される。タリバンによると米国は悪魔、ほかの諸国も異教徒なので殺してもいい事になっている。今のアフガニスタンにはタリバンアルカイダパシュトゥーン人民兵組織がいてパシュトゥーン人は穏健派と見なされている。ナディアが解放されたのはかつての親友だったハッサンがパシュトゥーン人のリーダーになっていたからだった。ナディアは交渉のためにハッサンの居場所を探す指令を受け、まず姉のタマナと接触する。ハッサンとタマナは昔フランスに留学していたのだ。ナディアはタマナと街で会いタクシーで一時間ほどの村へタクシーでたどり着く。そこにはハッサンがいた。たちまち戦争について議論が始まるがハッサンの論調は先進国側の建前そのものである。ハッサンにナディア側の目的が自分たち穏健派をカルザイ政権に取り込むことであるとたちまち見破られた。ハッサンは協力を保留するがテロの情報を教えてくれた。 

    どうやら介入側はお金と多数派工作で事態を先に進めようとしている。いよいよハッサンとナディアがサシで交渉する。ナディアは協力すればお金と地位が手に入り過激派を一掃できるとハッサンに持ちかけるがこれではイスラム教徒には同意は無理だろう。と思ったらハッサンは家族の保護と選挙資金を得るため これに同意する。ルロイ大佐が誓約書を持って現れる。ハッサンは選挙の公正を懸念しているが国連による監視がつくだろうとルロイ大佐は言う。村の長老との話し合いへと進み見通しが少し立ってきた。介入側は橋と電気とトラクターと診療所を援助するという。いよいよ選挙が始まろうとする時タリバンが村にやってきてよりよい条件を出し寝返れと言うが今回は引き上げていった。だがカルザイは腹黒い男でハッサンに協力するつもりはない。それに嫌気がさしたフランス軍は手を引くことになる。ハッサンは長老に会い一時は選挙協力を約束してもらうがタリバンがナディアを拉致しハッサンをおびき出して殺した。これがアフガントラップである。フランス軍もナディアも本当に嫌気がさしただろう。ナディアは任務を解かれフランスに帰って行った。この映画の立場は中立でありアフガン問題が何であるかをほぼ言い尽くしていると感じた。フランス人はよくわかっている。