映画 ガントレット (1977)

クリント・イーストウッド主演、監督の映画である。彼独特の美意識から一種の社会派映画でありながら、アクション娯楽映画でもある作品になっている。また背景の音楽にはモダンジャズが流れており、ハードボイルドの雰囲気を醸し出している。

フェニックス市警察の刑事ショックレー(クリント・イーストウッド)は特命を受けラスヴェガスで勾留中の売春婦マリーを証人として裁判所まで護送する事になった。これが発端である。するとマフィアと警察が手を組んで二人を抹殺しようとするのである。ショックレーはバリバリの敏腕刑事としてではなく酒に溺れた捨て駒の刑事として登場する。こういうペーソスを感じされる人物が、一転して悪の連合をぶっ潰すというのは(日本ではあまり無いけど)まあ一つの大人の夢には違いない。

車の爆破、家とバスを包囲して銃撃するというようなアクションシーンは「俺たちに明日はない」の再現でもあるし、孤立無援の戦いは「セルピコ」のようなシチュエーションでもあるが、それらとは違い結局ハッピーエンドとなるのである。社会派映画では問題を投げかけて終わるというのも許されるが、これは娯楽作品として成り立つように、観客の事を考えた結末になっているのである。