ドラマ 戻って来ていい? ー敷居ぎわーより (1986)

 一人で暮らしている父(山村聰)の元へ、三十代の娘直子(いしだあゆみ)が里帰りする。夫(小林稔侍)と喧嘩して帰ってきたのだが、何か思い詰めているようなそぶりである。直子は父の世話をしながら、お隣の幼馴染の浪人生(柳葉敏郎)と仲良く遊んだりしている。夫からいつもならかかってくるはずの電話が今回は来ない。色々あって直子は浮気相手のホステスに夫をくれてやろうと思っているのだ。だが今回は父が夫の会社まで足を運んで、事情を聞き、どうしろとは言えないまでも、夫の口から必ず電話するという言葉を引き出した。

 直子は出戻ってもいいかと父に確認するのだが、戻ってくるなとは言えない父であった。結局直子は今回は帰るけれど、どうなるかはわからないという言葉がセットになっていて、なんだか夫に対する愛情が冷え切っているように見える。

 その夜、夫が迎えに来たのかどうかは不明瞭なのだが、直子は父に敷居の向こうから夫が迎えに来たので帰りますと言って帰っていった。ここは夫が父にご迷惑をかけましたと一言挨拶するのが普通だと思うが。不思議な演出になっている。