夢のオーディオシステム(6)

YAMAHA B3 と オデット

B3は1977年発売のSITアンプである。10cmフルレンジバックロードホーン(オデット)と組み合わせて聴いている。最近の印象だとメインシステムと遜色ない音で鳴っているので秋頃までこれで聴いてみる。オデットは自設計のコンパクトなバックロードホーンで現在はFEー103 Solで鳴らしている。

今聴いているのは東京オペラシティこけら落としで演奏されたペーター・シュライヤーとアンドラーシュ・シフシューベルト三大歌曲集のDATである。

昔のNHKはこんなのを放送していたのだから全く驚きである。

前略おふくろ様 II 第22回 (1977)

海ちゃんの後遺症は大したことはなく今ではケロッとしている。規則を守らない海ちゃんの事でサブが医者からしぼられる。サブから海ちゃんに言うとどこ吹く風である。

女性の実像におけるこの様な表現は流石に素晴らしいものがある。ジブリのアニメに出てくる女性にはこの様な陰影の肉付けに乏しい。さらに上を行くのが向田邦子のドラマである。女性側からしか見えない実像が描かれている。

お嬢さんがサブに問いただす。この前訪ねて来たタヌ子の事である。サブは男女の関係は何も無いと言う。するとタヌ子から電話があり喫茶店で会う。仙台の就職の話をタヌ子に打ち明ける。タヌ子は異変に気づく。周りを皆んなに囲まれていた。皆んなニヤニヤしているがお嬢さんはプンプンである。サブは憤慨しこの事を海ちゃんに話すと反応はクールだった。タヌ子の事を知っていてあの子はあんまり良く無いよと忠告する。

かすみちゃんはまだ相手とはフィアンセの関係のままで独身だった。だが近々アメリカへ行くことになると言う。赤提灯で秀さんとサブとが話している。店のことは心配するなと言う。母の事も聞かれる。いい話だと背中を押してくれるがサブはまだ決断できないでいる。

翌日は皆んな元気に働いていた。サブにかすみちゃんから電話がある。今夜お別れパーティだと言う。海ちゃんがまた病院を抜け出し苦情の電話が来る。海ちゃんは砂時計にいたがサブがとうとう怒りをぶつける。海ちゃんは全然動じず話題をそらして来た。サブはこれが最後通告だと言う。

サブと半妻とかすみちゃんとで鍋料理を囲んでいる。よく考えると歴代の恋人である。二人がかしこまっていると後で読んでとかすみちゃんは手紙を渡してくれた。その場で読むとどうやら同じ文面だったらしい。ただ名前が逆になっていた。三人は酔いつぶれる。

帰り道半妻が警官に絡み始める。しつこく絡むが逮捕はされなかった。サブは半妻をアパートに連れて行きダラーンとしている。そこには管理人からの置手紙が。母が今日亡くなったと書かれていた。それを見て半妻は顔色を変えたがサブは嘘だと思って笑っている。今日夢が全部壊れて脳がついて行かないという演出か。なかなかリアルである。

映画 借りぐらしのアリエッテイ (2010)

2010年興行収入一位で92億6000万である。二位のTHE LAST MESSAGE 海猿 80億4000万は見ない。

小人の人間、といってもホビットではなくドールハウスで暮らせるレベルの小人である。DNAの変異なのか、ウルトラQなのか、ドラえもんなのかその存在理由に関しては触れていない。そういう説明があるとファンタジーでは無くSFになる。

小人の三人家族があるお屋敷の地下に凝った部屋を作って長年暮らしていた。アリエッティは14歳の少女である。そこへ病気療養にやって来た美少年、翔がアリエッティを目撃して交流を持つ。その交流が元で小人家族の生活空間は破壊され引っ越しを余儀なくされるというストーリーである。

原作はイギリスの小説であり原作の雰囲気は小人家族の風貌、インテリア趣味にある程度現れているが全体の設定は耳をすませばと似かよった都内多摩地区が想定されており登場人物も日本人である。翔の両親は離婚しており母親は外国に赴任中でお屋敷の主人である叔母が数日後に手術を控えた翔を助けている。実際に面倒を見ているのはお手伝いのハルである。ハルは小人の一人を見つけるや捉えて瓶に閉じ込め残りの小人を業者に頼んで駆除しようとする。そういった危機をアリエッティと翔が協力して乗り越えて最後は無事に終わる。

教訓めいたものはアリエッティが親の言うことを聞かず人間に見られてしまった事と善意で行った翔の行為が小人一家の退去を招いた事の二つである。どちらも人間としての未熟さが原因なのでストーリーがパッとしない印象になっている。

吉田秀和 名曲のたのしみ 2012年5月19日放送分

今日はラフマニノフの連続放送の22回目にあたります。ピアノ独奏曲を聴きましょう。ラフマニノフは練習曲というのを二つ残しています。それには音の絵という副題がついていますけれどもそれぞれ9曲からなるものですが 、第1集の第4曲は後で改訂版ができて二集の方に組み入れられているので今は聴かれなくて要するに第1集の方は8曲でできている。それから第2集の方は9曲からできている形になります。ラフマニノフのピアノソロ小品集としては他に前奏曲集というのもありますし楽興の時というシューベルトのあれみたいなのもあるんですけれどもその中ではこの練習曲集が作曲家としては一番力を入れてやったんじゃないですかねえ。性格的な音楽としては内容の濃いものですね。勿論ショパンの練習曲の後を継いだものでただピアノの技巧をひけらかすというものじゃなくて音楽的な内容もあるものです。けれども驚くべきことにこの第2集のほうの音の絵9曲を見ると第1曲から第8曲まで全部短調で書かれていて1曲しか長調が無い。当然技巧的に難しいということを除いても暗い内容のものが続くんですよね。第1曲から第4曲まで、弾いてるのはアシュケナージです。〜音楽〜

この次は第5曲から第9曲まで云々、それじゃ続けてこれも演奏聴きましょうアシュケナージのピアノソロです。〜音楽〜

今聴いたのはラフマニノフ作曲の練習曲集音の絵第2集のほうの全部で8曲?聴いたわけですけれども次にこの練習曲をオーケストラに直したものがあります。レスピーギというイタリーの作曲家、これはオーケストレーションの名人と言われてる人でしかもこちらの方は前の方が音の絵ということ言っておきながら結局どんな絵なんだかわかんないようなくらいでこっちの方は標題がついてましてね、でそれを5曲レスピーギやったんでそのうちの第1、3、5、この3曲をこれから聴くことに致しましょう。アシュケナージ指揮のシドニーシンフォニックオーケストラの演奏です。〜音楽〜

今日は云々を聴きました。それじゃあ又、さよなら。

名曲のたのしみ、お話しは吉田秀和さんでした。

映画 ROOKIES 卒業 (2009)

2009年興行収入一位で 85億5000万である。二位の劇場版 ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ 46億7000万は見ない。

二子玉川学園高校の野球部が甲子園出場を目指す学園ドラマである。安仁屋 (市原隼人)、御子柴 (小出恵介)、新庄(城田優)、関川(中尾明慶)、若菜(高岡蒼甫) 、平塚 (桐谷健太)、岡田(佐藤健)といった登場人物だがネーミングが不自然で安易である。

目標が低いので偉業達成とは言えないが意外性くらいならある。野球部のメンバーはいわゆるヤンキーだがインテリもいるし求道者タイプもいる。マネージャーも学級委員タイプのいい子である。これで練習を積めば西東京大会を勝ち進むこともそれ程困難ではなさそうである。

このドラマを特徴付けているのは野球部監督の川藤(佐藤隆太)で熱血タイプだがモラハラとは縁遠く、笑顔は緒形拳のそれに通じるものがある。ストーリーはベタなもので優勝候補の強豪チームを決勝戦で倒すのは予想通りである。演出は後半は少々くどい感じがした。登場人物が劇中で感動すればするほど観客は感動しないという法則がある。

シルクロード文明誌図鑑 ジャン・ピエール・ドレージュ著

本書はナショナルジオグラフィックに出て来るような雄大な写真と短い文章、マルコ・ポーロ玄奘からの引用文からなる大型本である。文章から思い描いていた土地の風景を映像化する助けになってくれる本である。それとNHKシルクロードシルクロード第2部、新シルクロードも大変参考になるのでMacに取り込んでみた。Macはこうした研究にうってつけのコンピューターである。

映画 崖の上のポニョ (2008)

2008年の興行収入一位で155億である。二位の花より男子 ファイナル 77億5000万は見ない。

冒頭のプランクトンが発生しクラゲになる場面は手塚治虫風SFと言って良いがすぐに海の中で色を蒔くマエストロ風の男が登場してファンタジーの映画になる。人面金魚のようなポニョが人間の男の子に拾われる経緯が描かれる。おそらくポニョ誕生という題と夥しい数の絵コンテが用意されただろう。音楽は有名曲のモチーフが使われ途中からオリジナルになるパターンのものが出てきて音楽愛好家には鬱陶しい印象になる。勿論完全オリジナルでないと納得がいかないのである。

主人公の宗介は5歳の男の子で両親と小高い海辺の崖の上にある一軒家で暮らしている。宗介はある日家出をしたポニョを見つけて保育園に持って行くが魔法使いであるポニョの父(マエストロ風の男)が追いかけてきてポニョを連れ戻す。ポニョは言葉を話し宗介が好きと言い残すが男か女かはよくわからない。保育園に併設されたひまわりの家(母が働く養護施設)で老婆が人面魚は津波を呼ぶと言いポニョを忌避する場面がある。

海に帰ったポニョは父親に反抗し人間になりたいと言う。すると手足が生えて人間になってしまう。だが人間世界が嫌いな父親は魔法でポニョを魚に戻す。海底の地下に井戸があってマエストロはいつかこの井戸が水を溢れさせ人間の世界を終わらせると言う。再び人間の姿になったポニョはこの井戸に海水を注入し井戸はメルトダウンを起こす。ポニョは女の子の姿になり大津波と共に宗介の元へ向かう。その頃宗介と母はひまわりの家から帰る途中台風と津波に巻き込まれるが津波の上を走るポニョが宗介を追いかけてくる。ポニョは海に落ちて行ったが歩いてまたやって来る。自分でポニョと名乗り宗介の家に上り込む。

丘の上にある家は電気以外のインフラが無事であり三人は温かい食事を楽しむ。この家には自家発電装置もあるようである。アマチュア無線で父親を呼ぶが応答が無い。母はひまわりの家が無事かどうか確かめるため戻る事にした。一方父親の船は無事ではあったが母なる海を目撃する。光り輝く巨大な菩薩のような母なる海はマエストロと相談していっそのことポニョを人間にしてしまえばいいと言う。だが宗介の心が揺らげばポニョは泡になるという不吉な事も言う。

チキンラーメンアマチュア無線、ポンポン船といった昭和のアイテムが出て来るのは宮崎作品の特徴である。町は壊滅したようだが船に乗った住民が次々とやって来る。ポンポン船に乗った宗介とポニョはひまわりの家に向かう。車はあったが母の姿は無かった。車椅子もあったが老婆たちの姿は無かった。老婆たちは歩けるようになり海中のマエストロの家で走り回っていた。母もそこにいたがなんだか影が薄い。

いよいよマエストロがポニョのところへと向かう。ポニョは眠ってしまい魚に戻っていた。そこにマエストロが現れ一緒に行こうと言う。マエストロは地球の破滅が迫っていると言う。宗介は拒否するがとうとう連れて行かれ母なる海と面談する。母なる海の質問に答えた宗介はポニョとの仲を許されついでに世界の綻びは閉じられた。結構重いテーマが次々と出て来るわりには単純なハッピーエンドで終結した。