映画 タスマニア物語 (1990)

これからしばらく邦画の配給収入1位と2位の作品を鑑賞する。まず1990年の2位「タスマニア物語」を取り上げる。配給収入は25億2千万円である。

材木を扱う商社マンとしてオーストラリアで活躍する栄二(田中邦衛)が森林破壊から動物を守ろうという思想に目覚めたのち会社を辞めタスマニアに移住、そこを拠点として環境保護活動をする傍ら幻のタスマニアタイガーを追うというストーリー。小学生の正一(多賀基史)が春休みを利用して父の元にやって来てゴタゴタを引き起こす。現地ロケではタスマニアンデビル、ウォンバットなどの珍動物が登場しタスマニアの自然もある程度堪能できる。

残念ながらこの主題だとヘルマン・ヘッセの禁止事項「正義をふりかざす集団や団体に取り込まれるな。」に抵触する。やってることは空しいですよと思いながら観ていると最後にタスマニアタイガーらしきものを正一が目撃して良かった良かったとなり終了した。これではちょっとおざなりである。ここは折角伏線を張ってあるのだから正一がタスマニアタイガーに食べられてしまうという皮肉な結末が良かったのではないか。或いは少し妥協して襲われたけれど何とか助かったという結末でも良かったかもしれない。

もう一つ気になったのは日本人が外国で活動する場合はリアル世界史が出現する訳で、この映画では現地の警察や住民は栄二らに対しお客さんのように接していたが現実はそうはならない。考えが甘いと有色人種には理不尽で容赦ない事態がやって来るだろう。