SITのDCアンプを載せてみる。
ふわりとした音になる。強靭さではバイポーラが良く、シャープさではデュアルゲートMOSが優っている。
上條式ノンスイッチングアンプを搭載する。
音はキメが細かくツヤがありバイポーラらしくズシンとくる。PRAー2000にかなり近い音だ。ゲイン100倍だとドリフトが酷いので今はACアンプにして馴らしながら聴いている。これはDCサーボが必要だろう。
SEコンを試してみる。
音の印象はくっきりと安定しているように感じた。スチロール、積層セラミック、SEコンで歪率の差は出てこなかった。
本書はポルトガル人メンデス・ピントが一攫千金を狙ってインドへ行った後21年間東洋を遍歴した記録であるがフィクションも含まれているという。
メンデス・ピントのたどった道は、ポルトガルの田舎→リスボン→ディウ→アビシニア→トルコの捕虜→マラッカ→スマトラ→パン→パタネ→ルゴル→海賊退治→寧波→カレンプルイ島→南京→北京→クアンジ→ランサメ→種子島→豊後→マラッカ→マルタヴァン→カラミニャン→ゴアとなっている。ゴアは東方経営におけるポルトガルの本拠地である。
いろいろあった後インド行きの船に乗り込んだメンデス・ピントはインド西岸のディウに着く。ピントはそこで危険とは知らずにオスマントルコの動静を探る偵察船に乗りディウを出港し途中アビシニアに寄り王女に面会する。その後3隻のトルコ船に遭遇し猛攻撃を喰らう。ポルトガル側は大半が死亡しピントを含む9人が捕虜となりモカへ連れて行かれる。ピントは牢獄に入れられるが競売にかけられ奴隷としてギリシャ人に買われる。ひどい目にあわされた後ユダヤ人に転売されオルムスで解放される。いよいよ船でインドへ向かうピントだがディウ要塞へ差し掛かった時大艦隊が要塞を包囲しているのを見る。結局それはトルコ軍だった。気づかれて5隻のガレー船から追尾されるが何とか逃げ切った。
という風にピントは冒険をしながらお金を儲け遂には巨万の富を得る。しかしフランシスコ・ザビエルらと交流するうちに回心し財産を捨てイエズス会に入会するがすぐ還俗する。本国に帰った後はリスボン近郊に隠棲して本書を執筆したのである。
蘇曼殊(1884ー1918)の中編小説である。蘇曼殊は横浜の華僑の家に生まれるが長じては支那大陸を股にかけ活動し35歳で夭折した。年譜によると康有為をピストルで暗殺しようとしたが止められたとある。
小説は打って変わって至って軟派な代物である。不遇の幼少期を送った主人公が許嫁と別離し僧侶に身を落とした後、日本の母と再会しここでも伯母の養女と巡り会うが思いを断ち切って別離し支那大陸に渡る。どちらも絶世の美女であるというのが通俗小説っぽい。日本のそれとは異なり親子兄弟の関係が極めて濃密でありそれを基軸にストーリーが展開する。会話はほぼ中国の古典文学や故事の引用で成り立っておりディレッタント文学とも言える。
明治時代なので結構船便があり支那に渡った主人公は古寺を転々とし同じような境遇の若い僧と旅を続ける。許嫁は死んだという話が伝わり落胆した主人公は許嫁の故郷の村を訪れる。
小説では主人公は親思いであり中国の古典と絵画に造詣が深く詩作も得意のように描かれている。本作は自伝的小説とされているがどうも年譜によると作者は入院先の病院を追い出されたりしておりかなりの人格破綻者のように思えてくるのである。