ドラマ 紙の灰皿 (1986)

スーパーで買い物をする中年男(津川雅彦)とレジ係をしていた女子大生(手塚里美)の物語である。都内のとあるスーパーで支払いのやりとりがあった後、彼女は何故か男の家について行く。彼女の口ずさんでいた歌の歌詞を書いたのは自分だという男の言葉に反応したのか、大学生の彼氏が離れていったのが原因なのか、彼女の口からは語られない。

 彼女の入れ込み様は凄まじく、男に引っ越しをさせた後、ホステスのアルバイトをして、男の生活を支え始める。大学生の彼氏(沖田浩之)はプレイボーイで、この後も少し絡んでくる。

 白骨温泉で書き上げた歌詞がとんとん拍子でレコード化される運びになるのだが、曲調が今向きでないという上層部の意見で、ポシャってしまう。男は自費でシングル盤をプレスして売るためにはお金が要るという。彼女は二つ返事で500万円出すことになるが、元よりこの計画には反対だった。レコード会社が新しい作曲家を見つけて再レコーディングするのが正解だったのだ。言い忘れていたが、彼女はソープ嬢となって大金を稼いでいたのである。

 この後は結構波乱に飛んだ展開となるが、ちょっとした文学的なエピソードが伏線となって、何となくハッピーエンドで終わるのである。あれっという感じだ。演出 服部晴治とクレジットされている。手塚里美の演技は天才女優あらわると言っても差し支えなさそうだ。