ドラマ 離婚届 (1986)

 熟年夫婦の離婚の危機とはいうものの、姑の死後1年経ってから、庭の桜の樹を嫁(杉村春子)が切ったことが直接の原因というのは、あまり得心の行くものではない。夫(北村和夫)から見ると、妻が姑に抱いた憎しみが形に現れただけで、離婚を切り出すほどのものだろうか。夫が言う離婚して自分探しをするという理由も何だか取って付けたようなものである。この年周りというのは、人生の答え合わせが出てくる頃で、そんなに悪くないじゃないかと思い始める頃である。

 結婚10年目の娘(泉ピン子)は姑と同居している子供がいない家族である。いつも口出ししてくる姑と、自分を庇ってくれない夫(山本亘)というパターンで、ちょうど夫の浮気疑惑で揉めているところである。

 ストーリーとしては、離婚を考えている娘が、実家の母の元に相談にゆくが、実は母も離婚を迫られているというものである。何と答えていいものやら。嫁姑問題という永遠のテーマを出しておきながら、単なる妥協で幕を引いたのは、やはり日曜九時のホームドラマだからだろうか。