映画 ブラックボックス (2021仏)

テーマとしては封印されていた潜在意識が何らかの拍子に現れて、過去のトラウマと事件の真相が明らかになるというものである。でも30年も前の記憶である。

パリでサラリーマンをしているアルチュールは出張中に自分の運転する車で大事故を起こす。幸い外傷はなく脳内血腫程度ですんだが、意識がない状態がしばらく続いていた。そのときのうわ言を精神分析に興味のある看護師が克明にメモをとり、退院時に渡してくれる。事故で死んだ兄との会話や、小学校の同級生のこと、シルヴァン・ガネムに殺される、RP50というワードが出てくる。

そこからの出来事は少し仮想現実っぽいが、施設にいる母に会いに行ったり、殺人事件が起こったりと忙しくなる。また兄が生きていて失踪した事になっている。ところが見ていくと再び病院のシーンになり、アルチュールの脳CTに異常はなく無事退院する。これまでの展開は昏睡時に見た夢という事になる。

復帰したアルチュールは今度はコンサルトした精神科医にうわ言の録音テープを渡される。これを元に兄の死の真相を思い出したアルチュールは、RP50のナンバーの車の特定を知り合いの警察官に依頼し、犯人特定にあと一歩というところまでせまる。

ただこの後の展開もなんだか夢の中のような感じがするので、ハッピーエンドで終わった後も果たしてそうかなと言う疑問が残るのである。これもまた集中治療室での夢という事もあり得る。