「飲食知味方」は儒学者李時明の夫人の張氏による手作りの本で古文書として発掘されたものである。1650年過ぎに書かれたと推測されている。一部を紹介する。
I 麺と餅類
12 水餃衣法
(餃子の)中に入れる野菜としては、しいたけ・松茸・きゅうりを細かくきざみ、これに松の実、胡椒などを薬味として加える。
小麦粉を絹の布で篩って濾す。麺類を作るときのように練って薄くのばし、真鍮食器の糸底で型を抜く。
中身の具はいっぱいに詰めてよく蒸す。出来上がったものには油を塗って、酢醤油を添えて出しなさい。
III 魚肉類
9 鼈湯 (すっぽん汁)
馬のひづめくらいの大きさの柔らかいすっぽんの首を切って血を出させる。わかした湯でよくこすりながら、白くなるまで(皮がはがれて白っぽくなる)洗う。洗ってから別の湯に入れ、醤油とねぎを加える。よく煮えたらとりだして身をちぎる。
五味子にしょうが・山椒・胡麻・にらの細かくきざんだものを合わせて酢醤油であえる。一、二時間くらいして味がしみこんでから、すまし汁に煮込んで、やわらかくなったら食べる。 (略)
28 狗醤コジヌルミ (狗肉の串焼き)
前日に狗をつぶし、かるく熱湯でゆがいて、骨を肉から外す。肉は水でよく洗ってから、水気を布でふきとっておく。串にさせるくらいの大きさに切り、これに胡椒・胡麻油・醤油などの薬味で、味をつけておく。
翌日串にさしてこがさないように注意して焼く。 (略)
Ⅶ 酒類
21 四時酒
白米一斗を粉にして、熱湯三斗で粥をつくる。冷めてから麹の粉一升5合を合わせると、三日たてば酛酒になる。
白米二斗を蒸し、冷まして小麦粉三合と共に酛酒に合わせて封をする。七日後に飲むと酒がきつくてよろしい。
併録されている「閨閤叢書」、「屠門大嚼」については省略する。