山田太一ドラマ 鳥帰る (1996)

     鳥取砂丘三朝温泉とのんびり観光ならいいが夫婦仲が壊れた女(田中好子)が故郷の倉吉に帰る。品川のバスターミナルで顔見知りになった初老男性と京都で乗り換えの特急から付きまとって来た青年が同行する。初老の男性と青年も心に重い物を抱えており特に行くあても無いので付き合うことになる。その日は鳥取砂丘を見た後実家を訪ねるが母が不在だったので三朝温泉に三人で泊まる。  

   翌朝再訪すると四年ぶりの母は最初はとっつきが悪かったが家に招き入れてくれる。客人がカステラを食べているとお昼時になるが母娘の険悪な様子を察して退散する。客人たちが大衆食堂で昼食を食べていると女がやって来る。又母と喧嘩して出てきたのだ。   

   青年と女は水鳥公園に白鳥を見に行く。初老男性は女の実家へ戻りぶっちゃけた話をする。女が幸せそうでは無いことと自分も認知症の妻の介護で苦しんでいる事まで話す。母親は驚くが自分も実は幸せでも何でも無いと言い出し二人は水鳥公園へ向かう。鴨しかいなかった池に白鳥の群れが飛来する。この鳥と女の帰省を掛けていたのかとやっとわかるが何だかベタすぎる気がした。

     初老の男が旅の途中で女をナンパ。他人の家庭の事情に首をつっこむ。旦那の浮気が元で離婚を選んだ女。認知症の介護問題と結構山田太一ドラマの定番のごった煮の感じがしたが、なかなか旅情をそそるロードムービーになっている。