映画 武蔵野夫人 (1951)

    溝口健二監督作品。宮地家は先祖代々武蔵野に地所を持つ旧家で地所を守って暮らしていた。時は太平洋戦争末期、空襲により焼け出された娘夫婦が東京から武蔵野に帰ってきた。当主の宮地信三郎は鉄道省を退官して病床の妻と暮らしていた。娘の道子は大学教授の夫との仲がうまく行っていない。隣には従兄の英治が妻と娘と三人で暮らしていた。ほどなく信三郎とその妻が相次いで亡くなり土地と屋敷は道子が相続することになる。

  そこへビルマ戦線から父方の従弟の勉が帰ってきた。勉は武蔵野の屋敷に住みたいと申し出るが道子の夫忠雄の反対で五反田のアパートから大学に通う事になる。 大学の生活はアプレゲールそのもので女子学生と乱れた関係を持つが勉にはどうもしっくり来ない。勉は従姉の道子のことを思っているのだった。英治の妻富子の提案により勉は武蔵野のお屋敷に住み富子の娘に英語を教えることになる。

   スタンダールの研究者である忠雄は不義は古い倫理への抵抗であると授業で学生達に講義をするとともに富子と不倫しようとする。富子はそれを断り勉と不倫しようとする。勉に断られた富子は忠雄に道子との離婚を迫り自分も離婚するという。英治は自分の工場の経営がうまく行かなくなり道子の土地を抵当に入れてくれと頼んでくる。勝手に抵当に入れることをOKしたとして忠雄は道子に離婚を言い渡す。富子と一緒に出て行った忠雄はついでに土地の権利書も持ち出していた。

    英治に指摘されその事に気付いた道子は自分が遺言状を残して死ぬことにより財産の3分の2を守ろうとする。勉に告白されていた道子は勉とはきれいな関係のまま命を絶つ。周りは大騒ぎになる。

     伏線もいくつか有り劇的な展開だがいとこ同士の恋愛だとドロドロ過ぎて悪い結末しか見えて来ないし残された両家族もこれでは空中分解するだろう。