映画 きっとここが帰る場所 (2011)

  最初に述べておくとこれは実存的会話と詩的な映像から成る大変ユニークな映画だった。

  年齢不詳の元ロックスターのシャイアンは消防士の妻とアイルランドで暮らしている。シャイアンはド派手なメイクとファッションで街を歩く。だがもう引退しているのでセレブな生活を楽しみながらフラフラしている感じだ。

  30年音信不通にしていた父が亡くなる。ニューヨークに帰り葬儀に出席するがそこで父の遺志を知る。シャイアンは父の残した絵を頼りにナチの戦犯を探す旅に出る。ユタ州まで旅をするがとうとうその男アロイス・ランゲの情報を得る。いかつい銃を持って男が居るという丸太小屋に侵入する。

  そこには小鳥がいて鉄道模型があって女性の写真があった。シャイアンは酒を飲み過去を回想しながら男の帰りを待つ。だが男は逃げた後だった。

今度はナチの残党を追い詰める専門家と共にランゲの後を追う。アラスカの果てにいたランゲは車椅子の老人でシャイアンに父との経緯を語りだす。それによると1943年に収容所で父のお漏らしを大笑いした事を恨まれたのだという。シャイアンはランゲにちょっとした仕返しをして帰って行く。

吹っ切れたシャイアンは短髪の普通の姿になって妻の元へ帰る。否定していたがやっぱり自分探しをする旅だったのだ。