映画 あゝ青春に涙あり (1952)

  寛平(池部良)は銀座のレストランマロニエのぼんぼんで都内の大学に通いながら家業の手伝いもしている。大学の試験は才女の辰美(久慈あさみ)に助けてもらいながら陸上をやっている。辰美は将来政治分野の職業婦人を目指していると言う。寛平は辰美と都内でデートしたり彼女のアパートにいったりするがキスを拒まれる。結婚を意識するでもないが寛平は辰美の口車に乗せられ彼女の実家に行く事になる。余りに立派な旧家に驚くが結局彼女から距離を置きましょうと言われる。

  寛平が不貞腐れていると旅の途中で会った謎の女性がレストランにやって来る。女はマユミ(越路吹雪)といい何故かシャンソンが上手く大森公爵の落とし胤であると言う。公爵と芸者の関係を清算させたのが寛平の父の寛助(森繁久弥)である。この奇遇が元で寛平はマユミのアパートに足繁く通う様になる。どうやら寛平はマユミの大人っぽくミステリアスな魅力に参ってしまった様だ。マユミも寛平の純真さに惹かれておりこの恋は本物である。

  だがここで三者三様の思惑が炸裂する。父の寛助は死んだ妻の連れ子の加代(岡田茉莉子)と寛平が結婚し店を継いでくれる事を願っている。加代は寛平の事を想いながらも才女の辰美と寛平の結婚を望んでいる。辰美はよくわからないのだが寛平がもっとしっかり学業をやればOKしても良い位に考えているのでは無いだろうか。まず加代がマユミのアパートに押し掛けて寛平には才女で美人の恋人がいると言う。辰美もアパートに押し掛けて一言う。なんと寛助の愛人まで押し掛けて行った。この状況にさすがのマユミも身を引く事にしたのである。

  マユミに振られてしまった寛平は家に帰ってきて泣くのであるがそれを見た加代が寛平を慰めるのである。寛平は泣きながら加代の心に気付き父の思惑通り加代と結婚するのである。

 

  男からすると周りから干渉されて意中でない人と結婚させられる人生は最悪だと思う。だがこの映画で一番の美人は加代なのでそういう印象はあまり生じていない。美人ならいいかと思うのである。