アレクサンドロス大王東征記 アッリアノス著 (紀元2世紀)(2)

第4巻のまとめ

アレクサンドロスはタナイス川(シルダリヤ)のほとりに町を建設し、これを自分の名前を持つ町にしたい、という考えをいだいた。これは今のホジェンドというのが定説である。フェルガナ盆地の入り口に位置する。ちょうどその頃川の周囲に住む夷狄どもがマケドニア将兵を血祭りにあげ町々の防備を固め始めたのである。大多数のソグディアナ人と一部のバクトラ人もこの蜂起に加わった。アレクサンドロスは一番大きな町キュロスを包囲する一方他の町を個別に攻略するという手法をとる。こうして二日で五つの町を制圧したアレクサンドロスはいよいよキュロスの町を攻略するため準備を整えた。ところが川床が一部現れていて町とつながっている事が判明する。ここから兵を入れて攻め落とす事に成功した。

スキュタイ人がタナイス川の対岸から様子を伺っている。 反乱が起こったのを聞きつけてマケドニア人襲撃に加わろうと考えているのである。挑発も仕掛けてくる。アレクサンドロスは対岸に矢弾を撃ち放ったのち渡河し決戦を挑む。スキュタイ人は敗走したがアレクサンドロスは飲んだ水が悪く激しい下痢に見舞われ追撃を中止する。

アレクサンドロスのもとへスキュタイ人の使節がやって来て友好同盟を結ぶ。さらに自分の娘を妃として献上したいという。又コラスミオイ人の王パラスマネスが騎兵1500騎を従えてやってきて黒海方面の種族の征服の道案内と加勢を申し出る。アレクサンドロスはどちらも固辞した。

アレクサンドロスは今度はオクソス川(アムダリヤ)に引き返しソグディアナへ進出しようと企てる。バクトラを出発、部隊を分けて進撃しソグディアナの砦と諸都市を制圧しマラカンダに到着する。その間にスピタメネスはマッサゲタイに逃亡し隠れていたがマッサゲタイ人の騎兵600騎を集めてバクトリアネ地方の守備隊駐屯地を急襲し全滅させる。これに対しクラテロスが追撃しスキュタイ人との戦闘が起こるが勝利を収める。アレクサンドロスが守備を固めると今度はスピタメネスは手薄なコイノスの部隊に襲いかかるがコイノス側が勝利を収める。スピタメネスは草原地帯に遁走するがアレクサンドロスを恐れたマッサゲタイ人はスピタメネスの首を刎ねてアレクサンドロスのところに送ってよこした。

アレクサンドロスは冬の間は休養し春になるとソグディアナの岩砦を攻略する。ここには多くのソグディアナ人とバクトリア人オクシュアルテスの妻と娘が逃げ込んでいるのである。アレクサンドロスは一計を案ずる。頂上にマケドニア人の部隊を登頂させこれから攻めるぞと脅すと恐怖におののいたソグディアナ人は投降してきたのである。

投降してきたオクシュアルテスの娘のロクサネはアジア第一の美女と言われるダレイオス妃の次くらいの美しさだったのでアレクサンドロスは恋に落ちる。そして妻に迎える事もやぶさかではないとこの時考えたのである。春も終わりに近づいてくるとアレクサンドロスは兵の一部をバクトラに残し軍を率いてインドに向かった。