東洋文庫 十王子物語 (7世紀頃)

本書は年代不明の伝奇小説作家ダンディン作とされる『十王子物語』の日本語訳である。物語の内容からダンディンは南インド出身と推測されるという。古典サンスクリット語の散文の作品と位置付けられる。

戦乱の時代、マガダ国の王ラージャハンサと王妃ヴァスマティーとの間に王子が生まれた。その名をラージャヴァーハナという。様々な由縁で集まった公子たちと王子は楽しく遊びながら勉学に励むのである。その内容を紹介する。

《こうして集まった子供たちと、ラージャヴァーハナ王子は童あそびをしたり、いろいろな乗物に興じたりしながら、順次に結髪式・入門式などの浄法を終えた。そしていっさいの文字の書法とすべての地方の言語の勉強、六種の補助学科とともにヴェーダ聖典の学習、詩、演劇、小話、物語、口碑、すばらしい話に満ちた古譚群の通暁、法制、文法、天文、論理、哲学など。あらゆる経典への精通、カウティリヤ、カーマンダキの著書などに関する政治処世の習熟、ヴィーナーなどのすべての楽器の練達、合唱、作詞法の習得、宝石の呪文、薬草、手品、記述の熟達、象、馬などの獣類の乗法の修練、各種の武器の扱い方、窃盗術、賭博などの詐術に至るまで、専門の師匠たちから残らず学習した。》

巻末に訳者による梗概があるのでそのまま紹介する。

《十人の青年はやがて相携えて幸福を求め、世界制覇の旅に出たが、途中ヴァンディヤ山中において、ラージャヴァーハナ王子は一人のヴァラモンの求めに応じ、地下の世界を征するために、友達を捨てて去った。残された九人の貴公子たちはそれぞれ王子を探して諸国をさまよい、種々の事件に遭遇するが、多くの年月(16年)ののち、ラージャヴァーハナ王子にめぐりあい、各々がその経験した冒険譚を物語る。》

内容には立ち入らないが、どうもインドの話はトッピング全部のせラーメンのような感じがして好きになれないのである。