映画 グレイティスト (2009)

時系列がかなりいじってあるが、ストレートなストーリーにすると1回目のデートで妊娠したカップルの男の方が事故死して、残された女の子が子を産むというお話しになる。妊娠を告げられた義理の家族はこの事を素直に歓迎できないようで、父親はうろたえ、母親は怒りを爆発させ、弟はメンタルをやられる。

まあそういった話であるが、この女性監督の作風として最初から全部話さないと気が済まないような描き方で、登場人物は言いたい事を全部言うし、モンスターのような母親、大学教授なのにバカっぽく描かれる父親、兄にコンプレックスを抱いている弟がそれぞれ主人公の女の子(大学を卒業したばかり)に絡んでゆく。まあどちらかというと絡んできたのは妊娠した女子大生のほうだが。

終わり頃テーマとして見えてきたのは、尊いのは母体と赤子であるという女性監督らしい思想である。演出のせいか男の存在は添え物のようであり、男がよく追求する真理、正義に関するような主張はこの映画では希薄で薄ぼんやりとしたものだった。一ミリも感動できなかったのである。