映画 ワン・デイ・イン・ヨーロッパ (2007)

  サッカーのヨーロッパチャンピオンを決める試合の日、モスクワでイギリス人女性が追い剥ぎに遭う。タクシーもグルだった。気が強い女性だがロシア警察の怠慢な態度には歯が立たない。彼らは全員仕事そっちのけでテレビを見ている。それでも事件を目撃していた親切なおばさんの協力で何とか手続きを終える。

   同じ日、イスタンブールでドイツ人学生が強盗にあったと狂言を行う。乗せてくれたタクシー運転手はドイツ語がペラペラで犯人探しまでしてくれる。警部が取り調べをする。金とパスポートが無事と聞くと何故届けが必要かという。学生がお金が無くてバスに乗ったと言うと貧乏なのに何故旅行するのかともいう。何故かこの後学生は部屋に軟禁されてしまうが、結局それは短時間のことで5000ユーロの被害届が受理され証明書をもらう。  
  
   同じ日、スペインの山道を巡礼者のいで立ちの男が行く。男はハンガリー人で歴史の教師だ。丘から町を見下ろす教師。最後の巡礼の町の教会前で記念撮影をする。頼んだ男がそのままカメラを持って消えた。スペイン警察も気がいいようでいい加減だ。担当の警官は男を車に乗せた後、居酒屋で一杯やり私用の宅配をしながらやっと署に向かう。今度は幸いな事に現場に監視カメラがあった。しかし確認すると担当者の怠慢で肝心なところが写っていなかった。何を思ったのか署長は事件を握りつぶし明日来いと言う。男はスペイン人の事なかれ主義とゆるい価値観に呆れながら去って行く。    
    
  同じ日のベルリン。大道芸人の男女がパフォーマンスを終え車で金を数える。エンジンが故障し300ユーロの出費だが収入は40ユーロ、男は女になじられ怒って去る。困窮した二人はわざと強盗に逢い保険金をせしめようと東ベルリンを歩く。残念ながら旧社会主義体制だった東ベルリンも今は住人が裕福なのか強盗は現れない。今度は移民のトルコ人が多いクロイツブルグに行く。だがサッカー好きのトルコ人が試合そっちのけで強盗するはずが無い。女はパリから来たというが黒い瞳で出自はアルジェリアだという。男はマルセイユ出身だ。夜、とうとう狂言を実行する。通りがかったパトカーに強盗されたと女が嘘を言う。ドイツ警察は優秀だがポーランド出身の警察官もいる。ポーランド人はお人好しでは無いようだ。現場で状況を聴こうとした時、雰囲気を察知した二人は脱兎のごとく逃げ出した。警察は追跡するが取り逃がす。 
  
   この映画が教訓として示したのは、ロシア人はサッカーの試合の日でも強盗をするがトルコ人はしない。トルコの警察はロシア警察やスペイン警察より真摯に仕事をする。ドイツ人もフランス人も下層はクズでトルコ人のタクシードライバーの方が親切で教養もある。サッカーも実況では勝っていたみたいだしこれはトルコ完全勝利の映画だ。