映画 アラビアのロレンス (1962)

  アラブ独立の英雄T.E.ロレンスの活躍を描いた3時間47分の一大巨編である。史実に基づいているが原作と比べるとかなり脚色がなされている。物語風にわかりやすく改変されたうえにシェークスピアのような仕掛けも各所に見られる。音楽はアラビア風の主題を用いた本格的な劇伴音楽が付されているが途中から音列が火の鳥の主題のように聴こえてきて困った。

   ロレンスの人物描写も単なるスーパーマンのように見せるのではなくトラウマを受けては鬱病のように落ち込んだり、口をワナワナさせて狂ったように敵を攻撃したりするのでなかなかリアルな作りだと言える。雄大な砂漠の風景とモンゴルの騎馬隊のように突進する勇猛なアラブのラクダ部隊の実写映像が完璧にフィルムに収められている。