映画 クワイエットルームへようこそ (2007)

  主人公の明日香は元風俗嬢だが今はバリバリのキャリアウーマンという設定で原稿の締め切りに追われている日々が描かれるが、突然眼が覚めると真っ白な監禁部屋のベッドに拘束されて点滴と酸素マスクが付いている。どうしてこうなったのか明日香には記憶がない。部屋の外から恐ろしい悲鳴が聞こえる。不条理劇のスタートである。

  看護師、医師が現れてここはどこで自分が何をしたかがだんだんわかって来るが今度は精神病院の不条理なシステムが覆いかぶさって来る。同居人の彼氏が差し入れのバッグを持って面会に来る。睡眠薬overdoseした夜の状況を聞かされるがそれには少々嘘が混じっている。仕事の事が気になる明日香はできるだけ早く主治医と同居人の同意を得て措置入院の状況から抜け出す事を目指すことになる。

  体が回復して来ると個性的な入院患者達との交流が始まる。レディースホスピタルのここは拒食症の若い子やoverdoseの医師夫人、覚醒剤中毒の女がいる。特に覚醒剤の女は新人に近づいては高利貸しのような事をして症状を悪化させるのが楽しみで皆から嫌われている。明日香も2500円借りてしばらくすると数倍になっていた。この女の嫌がらせによりブチ切れた明日香は再びクワイエットルーム入りになる。

  明日香が不眠症になったのは前夫の自殺のせいであるという。今回overdoseになったのは仕事のストレスと夫婦喧嘩のためであるという。要するに明日香は美人であるがハズレ妻でありアル中でメンヘラーなので普通の男は近づいてはいけないのであるが、今の同居人の鉄男はテレビ業界の男でかろうじて釣り合っているという状況である。

  その後大人しくしていた明日香は二週間で退院になる。その際さんざん振り回した鉄男とも別れ、明日香は一人でタクシーで娑婆に帰っていった。自由になった明日香はこれからも酒と睡眠薬を友とするのだろう。