NNNドキュメンタリー 平成ニッポンを歩く 報道カメラマン80歳日本縦断(2019)

NNN取材班は沖縄出身現役報道カメラマン石川文洋(80)を密着取材する。石川文洋氏はベトナム戦争カンボジア内戦、沖縄基地問題などを若い頃から取材してきた社会派カメラマンである。今回徒歩で日本縦断する。昨年7月、長野県諏訪市にある出発2日前の氏の自宅を映し出す。二階の自室にはベッドと整理前の資料がある。持って行くカメラはニコンの三万円くらいの軽いものである。氏は12年前に心筋梗塞を患っているが歩くのには支障はない。旅は2018年7月9日宗谷岬から始まった。観光客が多いが中国人の姿が目につく。それだけ世の中が豊かで平和な証であると言う。日記にこう記している。「3500キロの旅の第一歩だった。不安はない。これからどんな光景どんな人々に出会うのだろうという楽しみの方が大きい。」

道々、岬の灯台を撮ったりハマナスの花を撮ったりする。トラクターやお地蔵さんも撮る。これらは赤い色なのでつい撮りたくなるのだという。海岸を行きタコ漁師の久保田一枝さんと15年ぶりに再会する。昔話に花が咲く。沖縄の言葉「ヌチドゥウタカラ(命こそ宝)」を披露する。再会できたのも命があるからだという。

原野から望んだ利尻富士の風景が美しい。8月14日苫小牧に到着する。ここではSMILE HOTELに泊まったようだ。道路沿いの野いちごを食べる。写真展の打ち合わせの電話に出る。ある自治体で施設の利用が断られたという。辺野古問題の写真が政治的だという。彼は報道のリアリズムを追求しているのでこのような事がしばしば起こるという。この日は戦争遺産のトーチカを見つけて写真に残す。8月31日函館着。駅ニ市場の活イカ釣りの写真を撮る。

9月22日青森県東北町を通過する。雨が降っている。地元の人がやって来て挨拶する。記事を読んで今日か明日かと待っていたという。三沢市の沖縄料理店で故郷の味を楽しむ。氏には息子が一人いて沖縄料理店をやっているという。カンボジアに取材に行ったことを後から息子に詰られたという。カンボジアでは邦人ジャーナリストが7名捕らえられて死んだという。息子には親らしいことはしてやれなかったと言い生の大ジョッキを飲み干す。

9月23日三沢基地の隣にある三沢航空科学館を訪れる。家族連れで賑わっていた。戦闘機のそばで遊ぶ子供の写真を撮る。9月26日八戸市。磯の巨岩に花が咲いているのを見つけてしばし撮影する。10月24日被災地石巻市に到着。石巻ニューゼを訪問する。石巻日日新聞の平井美智子さんの説明を受ける。被災情報を伝えるのに壁新聞を作って対応したという。情報が途絶えるとデマと暴動が起こりやすいのが心配だったという。夜も徒歩旅行が続く。満月に映える松島の写真を撮る。

11月3日福島県富岡町に到着。線量は0.051μSvである。2017年4月に町の8割が避難解除になったが帰還者は少ないという。当時のままの体育館の写真を撮る。石川氏は語る。沖縄も原発も国策であるという。国はお金で問題を解決しようとするが本当の幸せはお金や大きな家では得られないという。11月9日双葉町に到着。さすがにここの線量は伏せてある。茨城県、千葉県を過ぎて、11月25日旅の中間地点である日本橋に到着する。