4石MOS FET パワーアンプ(6)

完成したのでアイドリングとオフセットをみる。アイドリングの安定度は鉄板で、歪み測定中も一定だったのには驚いた。オフセットあるいはDCドリフトは少し悪化している。

いよいよスピーカーを鳴らしてみた。FE103SOLバスレフである。

これには驚いた。先ほどより音が明瞭で、低音がしっかりしている。別もののアンプになっている。その理由は多分こうである。電流正帰還によりそれまで鳴りっぱなしだったスピーカーコーンのf oの振動がピタリと止む。さらに全帯域に作用するNFBと違ってスピーカーの速度特性に比例して作用する電流正帰還のためにfo付近の制動が増す。何故なら電流正帰還は速度特性に対し負帰還として働くからである。

この辺は解説すると長くなるのでこれ以上述べない。オーディオ理論でも最も理解しにくい領域になっている。理解を深めるには速度型MFBについて経験を積むしかないだろう。