映画 赤ずきん (2011)

村人とは?伝説から起こる悲劇とは?こういった古くからあるシリアスな問題に目を向けた大人向けのストーリーを美しいビジュアルで作り上げた作品である。題名どおり一部童話の赤ずきんとオーバーラップしている。

 辺境の森にある小さな村で、ある満月の夜に少女が狼に殺される。少女はルーシーといい、主人公の姉である。この伝説の狼に対して村は子豚の生贄を差し出して、村人の安全を図っていた。村人は自警団を組織して狼狩りに出発するが、犠牲者を出しながらも狼を一匹仕留めたのである。

 その夜、狼狩りのエキスパートとされるソロモン神父が村にやってきて、その狼はただの狼で、本当はこの村に人狼がいるのだという。

 ここからどんどんホラーになってゆく。黒魔術とキリスト教封建制がテーマとして表に出ており、人々の心理を利用した理不尽な出来事が起こってくる。最後は人狼が誰であるか明かされ、まあまあハッピーエンドに近いエンディングになる。

 こういった映画は制作会社によって、大人向け、やや教育的、お子様向けと制作方法が分かれるが、この映画は大人向けであり、想像を膨らませた大人のメルヘンと言えるものである。