映画 イン・ディス・ワールド (2002)

    パキスタンのシャムシャトウ難民キャンプで生まれ育ったアフガンの少年ジャマルが難民キャンプを抜け出しロンドンを目指すという話。エナヤットという青年が 叔父にお金を出してもらいロンドンに亡命したいという。エナヤットはパシュトゥーン語しか話せない。ジャマルはエージェントを紹介し英語の通訳として同行する事になった。危険があるというが安い陸路で行く。アフガニスタンを回避してパキスタンを通りイランに密入国する。10日目には二人はテヘランにいた。現地のエージェントにバスに乗せられる。途中で軍による検問がある。アフガン人であると見破られ連行される。トラックに乗せられパキスタンに置いて行かれる。事務的というか親切というか、こんなものだろうか。エージェントに掛け合うが追加のお金を取られ再チャレンジすることになる。

   夜のテヘランに到着。イラン側のエージェントに連絡が取れず翌日はテヘラン観光をする。5日間を無駄に過ごすが今度はトラックの貨物に隠れて街道を進んで行く。途中村に連れて行かれもてなしを受ける。何と徒歩で山越えさせられるようだ。警備隊が誰かに発砲している。翌朝トルコの村を歩いている。 羊を運ぶトラックに乗り街道を突っ走る。イスタンブールでたらふく食ってエルハムという男と接触する。宿に案内され翌日から工場で働く事になる。賃金も出るようだしこれなら別にトルコで不法移民として暮らしても良くはないだろうか。

   彼らはしばらく働いた後トラックに乗せられフェリーでトリエステに向かう。ところが酸欠になりエナヤットら数人が死亡。ジャマルは走って逃亡する。街に馴染んでいるジャマル。ストリートチルドレンとなりひったくりをする。そのお金で列車に乗りパリへ向かう。たちまちドーバー海峡の町サンガットヘ到着する。ここは不法入国を目指す人間がひしめいていた。ユシフという青年と知り合いになる。夜ユシフとトラック基地に忍び込みトレーラーのフレームに掴まるという方法でイギリスに入る。落ちなければという条件付きだが。翌日ジャマルはユシフの働くレストランからパキスタンに電話する。

   ここまではフィクションだが、本物の難民であるジャマルの難民保護申請は却下され18歳になる前に強制退去になるらしい。現在ロンドンに住み16歳ということで仕事に就くのは難しいようだ。エナヤットはパキスタンで運転手をしているようだ。

   この映画での彼らの姿を見るとこう言っては何だがバックパッカーそのものである。だがバックパッカーには帰る国とパスポートがある。難民には必死さを感じるがバックパッカーにそれは無い。つまりバックパッカーは気楽な難民なのだ。