BSドキュメンタリー アフガン秘宝の半世紀 前編 バーミヤン

    2016年3月20日のバーミヤンの現況が映し出される。人々が集まり新年の祭りが行われていた。バザールも復活していて取材班はタリバン支配時の証言を取る。肉屋、自転車修理屋から大仏爆破時の証言を得た。二人とも見て来たように話すが又聞きかもしれない。2001年3月の爆破時の映像はタリバンが撮って残っている。爆破後は石窟に難民が住み着いたりしていたが(ドキュメンタリー バーミヤンの少年)今は彼らも日常に戻っている。  
 
    日本の研究者が大仏と壁画の調査に入る。将来の修復、復元を考えているのだろうか。1964年には名古屋大、京都大学バーミヤンに研究のために入っている。N窟にあった供養天の壁画は破壊され痕跡になっていた。石窟の壁も落書きだらけになっている。1920年のフランスによる発掘映像、1950年の日本隊の発掘の時の映像も出てくる。
 
    収集された文化財はカブール国立博物館に収集展示されたが内戦の勃発により一度破壊された。破壊前の様子は在りし日のカーブル博物館(1988)というビデオに収録されている。だがコレクションの一部は職員により運び出されていて略奪から免れている。その内の黄金の秘宝は2016年4月から東京国立博物館で展示された。  
 
   2001年よりアフガニスタン文化財の散逸が始まるがそれらはまずパキスタンペシャワールに持ち出される。ペシャワールでは今でも貴重な文化財が取引されている。行方不明だったゼウス神像の左足は日本に来ていた。これらは日本でひとまず保護されており、いつかアフガニスタンに返還されるという。ユネスコが集めた基金でバーミヤン遺跡の修復が始まった。日本は清掃、補修を担当する。その際いくつかの新発見があった。7世紀ごろと思われる油画技法三蔵法師が訪れていた頃の経典が新たに見つかったと言う。 

     東京藝術大学での天井画の原寸大復元の様子が取材されていた。この成果は東京藝術大学アフガニスタン特別企画展で公開中である。これを見ると壁画の剥がれたところまで再現されている。40年前の状態を再現したことになるだろう。日本に流出した文化財が今年の4月に102点アフガニスタンに返還された。バーミヤン空港も復活して今はカブールからの定期便がある。

    返還は時期尚早のような気もする。アフガン関連ニュースで見る様にタリバン失地回復しつつあるし、米軍がいなくなれば元の木阿弥なのだから。