映画 さあ帰ろう、ペダルをこいで(2008)

冒頭にイリヤ・トロヤノフの小説に基づくとあるから実話とは違うのだろう。本編はブルガリアの労働者階級の一家が共産党幹部と揉めてドイツに亡命するという話だった。こういう体制下では権力を握ったものが人間としてやってはいけない事をあからさまに行い批判されない。こういったのを律するのはキリスト教のはずだが、そのために共産主義無神論とセットになっているのだろう。

主人公はバックギャモン名人の祖父とその孫で、後半は二人がドイツからブルガリアに自転車で帰るというロードムービー仕立てになっている。ブルガリア人の難民がイタリアで足止めされアラブ人と同じ苦難を味わうというのはまた切り口が違って新鮮味がある。難民収容所の食事が毎日パスタと言うのは嘘だろうし、記憶喪失になった孫が道中恋人を得るとういのも三文小説っぽい。深刻なストーリーからいつのまにかコメディーになっているというパターンである。