金田式無帰還イコライザー (4)

①ラベル ピアノとバイオリンのための作品集、Dmitry Sitkovetsky(Vn)Bella Davidovich (P)

  ラベルのバイオリンソナタは二作ありまず1897年の方を聴いてみた。この盤には二つのソナタとツィガーヌ、フォーレの名による子守唄が収録されている。


  バイオリンの音が静寂から立ち上がってくる。言うまでもなくSN比が有利なのはパワーアンプでありカタログ上120dB位のスペックは普通である。このシステムはイコライザー、ラインともバッテリー式なので誘導ノイズが無ければ静寂そのものと云っていい。幸いハムもラジオも聴こえてこない。

  音色が良くコントロールされた実在感のあるバイオリンに湧き上がる様なピアノの響きが加わる。ピアノの方は余韻たっぷりで鋭さは控えめである。メロディーはバスク地方特有の鄙びたものだが和声はドビュッシーのものが剽窃とまではいかないが多用され音楽が流れる様に進んで行く。バイオリンのハーモニクス奏法も軽やかに決まっている。どうやらここまでのところはっきりくっきり系の音であるのがわかる。

  聴いていて嫌な部分は全くなく音楽に集中できる。音像はナチュラルと云って良くあまり拡がらず実在感がある。音の粒子がエコー空間を埋め尽くすとか音がキラキラ輝くという事はない。素っ気ないが何処までも細かく分解するという鳴り方である。クラシックを聴くのにこれ程適したイコライザーはまだ殆ど世に出ていないだろうと自画自賛した。