吉田秀和 名曲のたのしみ 2012年2月25日放送分

今日は試聴室の番なのでアレクサンダー・ボロディンの音楽を聴きましょう。ボロディン1833年の生まれで1887年に死にました。彼の頃のロシアの音楽は西洋(ドイツ)の音楽の作風を尊ぶ人たちとロシアの民族主義的な傾向を重視する人たちとの二つに分かれて抗争状態にありました。例えばチャイコフスキーは前者の代表的な音楽家とみなされていましたし、ボロディンは後者の方の人々を組織して五人組というのが出来上がった。その一人に数えられていました。彼は大学の化学の先生で音楽をいわば素人なんですけれどもしかし才能があったことに加えて非常に研究心が強く理論的にしっかりした曲を書きいくつかの器楽曲を残しました。今日はその弦楽四重奏第二番ニ長調を最初に聴こうと思います。ちょっとベートーベンの最後の弦楽四重奏曲作品135を思い出させるようなところがあります。ボロディンはベートーベンを研究したなあってことがわかりますよ。じゃ、クリーブランド・ストリングカルテットの演奏で全曲続けて聴きましょう。〜音楽〜

今度はチェロとピアノのためのソナタを聴きましょう。ボロディンはドイツのハイデルベルクという町の大学で化学を勉強していた頃この曲を作曲したと言われています。ボロディンはチェロの演奏が自分でもできたんですね。このソナタはバッハの無伴奏バイオリンソナタ第一番ト短調のフーガの主題が出てきて活躍します。何れにしろとてもユーモラスなところがありまして音楽的にも面白い曲です。演奏しているのはオットー・ケルテス、ピアノを弾いてんのはイオナ・プリュニという人です。(CD マルコポーロ 28MP003)〜音楽〜

今聴いた曲は云々。ちょっと時間があるのでもう少し聴きましょう。偽りの響きという題の歌です。歌ってるのはオリガ・ボロディナ、それからピアノはラリーサ・ゲルギエワという人です。〜音楽〜

今日はまず最初に云々を聴きました、それから二番目に云々を聴きました。それじゃ又さよなら。

名曲のたのしみ、お話は吉田秀和さんでした。