映画 薔薇の名前(1986)

     1327年の末に北イタリアの僧院で起こった宗教裁判にまつわるおぞましい出来事を晩年となった今書き記しておくと主人公の一人アドソは言う。この映画はその手記の再現である。

    雪の残る山道を馬に乗り登って行く二人の僧。元異端審問官の修道士ウィリアムと弟子のアドソである。古めかしい僧院に着くと出迎えられ手を清められる。異様な空気が張り詰めている。異端審問の巡回の立会いに来たようだが歓迎されているとは言い難い。髭面の若い院長が警戒しているようだ。黒幕の老師ホルヘは知らん顔をしている。   

   挿絵画家のアデルモが塔から落ちて死んでいた事件はウィリアムの現場検証で自殺と判明した。続いてギリシャ語の翻訳者が殺された。ウィリアムは死体を検証する。彼はアリストテレスの翻訳をしていたという。異端者のサルヴァトーレが姿を表す。アドソに悔い改めよと話しかけるがウィリアムの姿を見ると逃げ出した。ウィリアムが雪に残った足跡の検証をする。書写室に行きアデルモの机を検証する。アデルモの描いた挿絵を見てユーモアのある男だと言う。書写室で笑いが起こると老師ホルヘが戒める。ウィリアムは笑いについて老師ホルヘと論争するがアリストテレス詩学という本に言及する。その本は何世紀も紛失したままであると言う。  
 
    ウィリアム達は夜中に書写室に入り込む。そこには副司書が残したメモがありギリシャ語でアリストテレスの言葉が書かれていた。ウィリアムは逃げ出した副司書を追うが童貞のアドソは百姓の女と倉庫で出くわしまぐわうのである。手記では女と交わったのはこれが最初で最後ということになっている。 

     翌日副司書は浴槽の中で死んでいた。死体には指と舌に黒く壊死した跡があった。ウィリアムの推理では禁書の在り処を教える事との引き換えに副司書が画家に情交を迫る。画家はメモを翻訳者に渡し自殺。翻訳者は本を見つけるが本の毒で死亡。副司書も同じ毒で死亡したという。禁書の事が露見することを怖れた院長たちは調査から手を引くようウィリアムに告げる。

     礼拝中に抜け出したウィリアム達は秘密の入り口から塔の内部に入る。塔の中は迷路のようになっており大量の本が隠されていた。暗号の解読により禁書を見つけ出そうとするが失敗する。中で迷ってしまうがアドソの機知により出ることができた。

   異端審問官が到着する。その頃サルヴァトーレが黒猫と黒雄鶏で黒魔術を行い女を犯そうとするが抵抗され火事を出して捕らえられる。実際黒魔術を行っていたわけで火刑に処されることになる。

   教皇使節が到着し教会の財産に関する見解に結論が出される。例の禁書は薬草室の壺の中に有ると調剤師がウィリアムに知らせに来る。だが調剤師は何者かに撲殺される。

      サルヴァトーレと女ともう一人が今夜火刑に処されると発表される。その時また一人マラキーアという男が中毒死した。この男は調剤師殺しの犯人である。騒ぎの隙にウィリアムらは図書室に侵入し問題の書を捜すがその間に処刑が進行する。図書室では老師ホルヘが待っていた。アリストテレス詩学第二の写本の事を問うとホルヘは差し出して読んでみろという。ホルヘが本を持って逃げ出すとランプを持ってウィリアムらが追う。するとランプの火で書物に火が点き塔はホルヘとともに全焼する。処刑場では農民が投石を始める。逃げ出した異端審問官は馬車もろとも崖から落とされて死亡する。ウィリアムらは無事に塔から脱出した。

     結局黒幕は老師ホルヘとマラキーアで他は巻き込まれた訳である。
 




 














    





















   











秘密の蔵書が