ドラマ ありがとう 第一シリーズ

    平岩弓枝のこのドラマも第26回まで来たところだが各種各様の家族が入り乱れて出てきて飽きさせないものがある。主人公のひかると母の家庭は警察官の父親が殉職していたり、園長と園長夫人の家庭には実の子が居なかったり、煎餅屋の姉妹は両親を早くに亡くしていたり、美人保育士さんは妊娠した矢先に夫が海外で死亡したりと設定としては一部が欠けた家族ばかりである。唯一完全なのは質屋店の四人家族であるがやや凡庸で夫婦関係に難があるという風に描かれている。

    このドラマのテーマは主人公のひかるの恋だと思うが、それはそれとして重要なメッセージが2、3読み取れると思う。登場人物はだいたい明るく周りに思いやりをもって生きている。感情が爆発して誰かを責める事が有るがすぐ謝り相手も気にしていないと庇う。東京の下町特有のものと言えばそれまでだが生きて行く上で大変重要なことだと思われる。

    明示されているメッセージはそんな所だが書かれていない部分に人生の最重要な事項があることに気付く。ではどうやったら質屋店の家族の様にならず園長夫婦の様になれるのか。どうやったら超絶美人の香子(和泉雅子)を落とすことができるのか。それの解答はどこにも無い。このドラマでは保育士の良二(岡本信人)が撃沈している。