明は大学をドロップアウトして建設現場で働いていたが密教の教えに心を惹かれ月山の麓にある注連寺で一冬を越そうと考える。バスを降りると七五三掛という集落へと歩き出す。住職のいない注連寺は荒れ果てており大工上がりの管理人の太助が住んでいた。以前は参拝客で賑わった寺だが即身仏も火事で焼けてしまい村人がたまに集まって宴会を行うだけになっていた。明が即身仏の事を太助に尋ねると何だか変な反応をする。注連寺には一冬越すのに十分な薪と米があり二人は味噌仕立ての大根汁を食べながら日々を暮らす。文子という気立てのいい村の女が明に関心を持つが文子は祖母と二人暮らしでここを離れるのは無理である。明は連れて行って欲しいと文子に迫られるが態度を決めかねている。未亡人の加代にも迫られるが明は曖昧な態度しか取れない。
ある日、明は即身仏の秘密を村人から聞かされる。行倒れになった死体をミイラにしたのだと言う。明は太助が自分を殺して即身仏にするのではないかと疑い始める。その他にも寺が賭場であった事、住職が博打に負け首吊り自殺した事も村人から聞かされる。男と駆け落ちした加代が二人で雪に埋もれて死んでいるのが見つかる。村人達はベナレス式の火葬をして二人を弔う。経を唱えるのは太助でなく村人の岩蔵である。やがて春が近づきツバメがやって来るようになると明は山を下りて外の世界へ帰って行ったのである。即身仏にもされず文子とも何もなくである。いや関係はあったかもしれない。