ドラマ 形見分け (1985)

会社役員の夫が急逝し、若い未亡人となった初美(岸本加代子)に葬儀と相続のゴタゴタが降りかかる。夫の親族から、あれこれ言われるわけだが、自分は財産目当てではないと言い、遺産相続は放棄すると言うのである。

 ろうけつ染めの先生麻江(森光子)が頼りの初美は、葬儀後に先生の邸宅でワインを飲み、高級弁当をご馳走になる。思い出話をした後、ライターと万年筆を形見分けとして取り出した。自分はライター、先生は万年筆ということになる。

 実は先生は夫の恋人か愛人だったという風にドラマでは暗示されており、初美もそれを疑ってるようである。この後で口論にもなった。実は黙っていたが初美は亡夫の子を身籠っていたのである。住居、就職、子育て、交友関係などの問題が一気に吹き出てきてとても解決できない感じもするが、これは一話完結のドラマである。結局、真相は曖昧なまま、住んでいるマンションは貰い、就職せずに、先生と一緒に子育てするという話になる。むしろこれは支離滅裂でご都合主義な結末だと思う。

 前言通り初美は無一文でマンションを放り出され、シングルマザーとして働きながら子育てをする。決して自堕落な恋愛など許されない。ろうけつ染の師匠とは絶縁する。現代感覚で断ずれば、本来こういう物語になるのではないだろうか。