映画 マザーウォーター (2010)

    かもめ食堂の京都版になっている。おしゃれな店に気負いのない常連が集って会話をするという設定である。ギラギラした人、裏表のある人が出てこないので普通の生活が平板に進んで行く。だがこの普通さが異常だとだんだんと気付いてくるという怖い映画なのかもしれない。 

   豆腐店を営む若いハツミ、ウイスキー・バーを営む中年のセツコ、コーヒー店の美人オーナーのタカコ、街の老女マコトが登場人物で、後は中性的な男が加わる。セリフは通っぽい事も言うけれど女性の会話らしくとりとめなく流れてゆくだけで男もそれに合わせて会話しているだけである。 

    セツコが客と会話して男の悩みをふつうよと断定して切ってしまう。私も昔同じ様なことがあったからふつうなのよと言うわけだ。なかなか面白い。後半はもたいまさこ演じる老女が貫禄を見せる。さしずめ修道院の院長という感じで他は市井に散らばったシスター達という所だろうか。そういえば見えない神様が出てくるし。