東洋文庫 沖縄童謡集 (1934)

本書は那覇市立高女の生徒たちが課題として夏季休暇に蒐集した郷土の童謡を先生が整理編集したものである。一部を紹介する。

《37 烏 其の二

イエー、がらさー

まーかいが。

わつたーあんまー(阿母)

みーめー(見舞)しいが。》

《51 蜻蛉 其の1

ざーちが、あっけーずー。

がにぐわーと(蟹小捕)いが。

がにぐわーとて、ぬう(何)すが。

わーをなり(姉妹)のにーびち。

いやー(汝)をなりや、ぬー(何)やが。

はっくんみーの、ちよッちよんぐわー(小)。 》

《108 三国風俗

唐やふいちぐん(平組)。

やまとー(大和)は、かんぶー。

うちな(沖縄)や、かたかしら(片髪)。》

《110

あまからちゆー(来居)るちゅら(綺麗)じゆう(女郎)小、

せんだんざい(樹)から、ケーおてて、

養生ふいーじようする内に、

こーぐチン曲がて。 》

《140 オーヤーケンナー

ういた(汝達)が方や、

きん(衣)のがめど、そで(袖)のがめど、

かげ(美)かる。

ばだ(腹)の中、八重が底、

やなみぞ(悪溝)。

オーヤーケンナ、オーラガヨ。

はんた(我等)が方や、

きん(衣)のどがめど、

袖のどがめど、

むつ(醜)ぎかる。

ばだ(腹)の中、八重がそこ、

洗ひだま(珠)。

オーヤーケンナ、オーラガヨ。

テキストと註釈からなっている。録音が残っているわけではない。ごく僅かだが採譜されているのもある。