岩波文庫 方法序説 (1673)

ルネ・デカルトは当時としては先進的なラ・フレーシュ学院で語学(ギリシャ語、ラテン語)、宗教学、人文(論理学、形而上学、自然学)、幾何学を学んでいる。そこで感じたものは古い学問を学び続けることの弊害であり、もう十分学んだと感じたデカルトは世界の旅に出かけたのである。その後は科学者たちと交流し物理学と数学の研究を行った。そうするうちに彼の作り出した哲学が方法序説なのである。これは正しい答えを導き出すための手続きのようなもので、少数の確かな真理から出発して実験によって新たな真理を導き出す試みである。もし錬金術や魔術のようにあやふやなものから出発してもその結果はあやふやなものでしかないからである。

他にも少数の真理から演繹法によって新たな真理を見つけるという形而上学的な解法も用いようとしているようだ。

僕は十八の時これを読んで、問題の解法には数理的な解法と形而上学的な解法とがあるのだと理解した。例えば物理現象で物体の運動が一定の法則に従っており、得られる結果がユニックで有れば、運動を解析的に記述する事が可能である。まあ実際の微積分による計算はともかくとして、これなどは形而上学的な香りがする。ニュートンライプニッツは凄いなと思った。

現代においては実験論文が再現可能ならば、ほぼ正しいと見做されるようである。人文の方面では、正しい、正しくないは誰にもわからないと考えるべきであろう。