映画 銀座化粧 (1951)

成瀬巳喜男監督の晩年の作品である。田中絹代が銀座のクラブ『ベルミー』のホステス雪子を演じている。明るく働く仕事の様子、家庭の事情、婚活の失敗までが描かれる。川沿いの下町に住む雪子には6歳の男の子がいて、この子は科学者を目指しているという。クラブでの流しや花売り、煎餅売り、街角でのチンドン屋が映像に収められている。チンドン屋の構成は鉦太鼓、三味線、クラリネットである。

資産家の息子の東京見物の場面では三十軒堀の埋め立て地や東京温泉が出てくる。貴重な記録となっている。この男性とデートした雪子は、生活の安定のための結婚相手として彼に狙いをつけたのだが、香山京子演じる若いホステスにあっさり攫われて終わる。タイミングの問題があったかもしれないが、雪子は40くらいに見えるのでこの目論見は無理筋にしか見えないのである。