映画 老親 (2000)

斑鳩の里の旧家の長男信重は仕事熱心なサラリーマンで、妻と二人の子供と東京で暮らしていた。ある日妻の成子にかかってきた電話を皮切りに義父の介護や親族との軋轢に翻弄されてゆく日々が始まる。だがそれは決して悲惨という程ではなく、経済的にも恵まれており手は差し伸べてはくれないが多くの兄弟もいる。とりあえず重信を東京に残して家族三人が斑鳩に移り住んで、田舎の珍生活が始まるのである。

 印象深かったのは遠慮も何もなく嫁にずけずけ命令する親族、実母も娘に言いたい放題、口さがないご近所、要所要所に現れて雅な喋りで成子を攻撃する小笠原町子演ずる舅の妹であり、成子も口では負けていない。つまり言いたいことを全部言うという演出である。溜飲は下がるかもしれないが、その分真実から遠ざかることになる。

 女性作家、監督による作品であり正論が多く正論を押し進めることによって、ハッピーエンドみたいになる。本当かなと言うのが感想である。