映画 シャレード (1963)

 見終わったので思い返しながら印象を述べてみる。ヘプバーンの演技に気合が入っている割に、ケーリー・グラントの冷静な演技がミスマッチで、年の差もありお似合いのカップルには最後まで見れなかった。若くて魅力的なヘプバーンの方が、グイグイと中年男に迫る不自然な演出が多かった。

 生死がかっている事件に巻き込まれている割には、登場人物のセリフがコメディタッチなのも気になる。原作の小説『シャレード』のプロットが結構複雑なようで、映画もそれなりにどんでん返しとトリックが多いけれど効果的なものは少なかった。

 このストーリーで一番の謎は種明かしすると切手だが、それが判明するのも元工作員の一人テックスがパリの切手市で切手を見た時というのも唐突すぎる。サスペンスコメディとしては完成度の低い作品だが、マンシーニの名曲とヘプバーンの魅力で大ヒットしたようである。