映画 パディントン (2016)

 勿論このような物語はE.T.とか古くから類似したものが製作されているわけだが、これもその一つでロンドンの一家族の元にペルーからしゃべるクマがやって来たという設定の新作である。

 赤い帽子にトランクを持ち漂泊するキャラクターは寅さんから来ているとは断定できないが十分類似性がある。密航した船でロンドンに着いた若いクマは市民や警察の目に触れはするが、誰も怪しむ人はいない。シュールな実存モードで物語は進行する。時効警察のような作り方である。

 保守的だが常に革新的なものを生み出すというポテンシャルがロンドンにはある。地理学者協会は王立地理学会のパロディだが、バゲット一本でシステムが破壊されるというオチになっている。

 話の作りは細部にまでこだわりとジョークが詰め込まれているというもので、児童文学とは思えない大人向けの作品である。