ラブクラフト全集 第3巻 (3)

アウトサイダー (1921)

 これは毛色が変わっていて、文体にシェークスピアの文語調訳の雰囲気がある。読んで行くと、どうやら読者はいっぱい食わされているのだと気づく。明示的には書いてはいないが、物語を述べている主人公が実は怪獣だったということになる。一作限りのラブクラフトの筆遊びだ。

戸口にあらわれたもの (1933)

 これも中編だがあの恐ろしい『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』を彷彿とさせるおぞましい話である。緊迫感が伝わってくるが、最終的に主人公が犯罪者になってしまっているのが瑕疵だろうか。このような魔術のようなものがあるとしたら恐ろしいが、僕のこれまでの人生で見聞したことは無い。