本書は『キナバルの民(1943)堺誠一郎著』と対をなす紀行文で里村欣三氏による作品である。両人は報道員として北ボルネオに赴任した。
サンダカンにほど近いキナバダンガン河口から遡って、最奥地のムルット族の村までの旅程である。1942年10月21日にサンダカンを出発し11月3日に村に到着している。その間ジャングルの様子、原住民の村、華僑の店、英国から接収した役場の様子を克明に取材し、民話、踊り、住民の生活の様子も通訳を介して記録に残している。里村氏は最後にフィリピンで戦死したが生前は作家仲間との交流があり、その人となりなども文献に残っている。