1957年頃のスウェーデンの話。イングマルは12歳の少年である。兄エリク、母アンキ、愛犬のシッカンと都会のアパートで暮らしている。父は南米でバナナを取る仕事をしているとイングマルは聞かされているが実は母子家庭である。母は女流カメラマンだが病気のため仕事をやめ家で寝ていることが多い。兄は弟想いのいい兄では無くいつもイングマルをなぶるような事をする。母も愛情が薄い感じで激怒したりヘマをやらかすイングマルを突き放すことが多い。こんな状況だがイングマルは本で読んだもっとひどい話を思い出して自分はまだましだと考える習慣を持っている。
さてとうとう母の病状が悪化すると兄はホテル暮らし、イングマルは田舎の叔父の元へ送られる。叔父はイングマルをサッカーのチームに入らせる。すると地元の子供達がイングマルにボクシングを教えたり手作りの宇宙船に乗せたりして構ってくれる。叔父も社宅の庭にイングマルと東屋を一緒に作ったりして遊んでくれる。階下に住んでいる初老の男は病床に就いているがイングマルを呼び少しエロい下着のカタログを朗読させて構ってくれる。どこか次世代を育てようという意識がコミュニティに感じられる。そうしないと強い国にはならないという経験則でもあるのだろうか。
女性陣もなかなか活発だ。グラマーな工員ベリットや男の子のような少女サガもイングマルの事を構ってくれるので少しずつ色々な体験をする。面白い事を沢山見聞きしたイングマルは母に会って早く話そうと思っている。
母の病状が安定したのでイングマルと兄は家に帰ってきた。イングマルは母の元でベリットの話を始めるが話が下手な事もあり母は全部聞いてやらずに突き放してしまう。いよいよ母が入院するとイングマルは母にクリスマスプレゼントを贈ろうとする。自分で考え電気式のトースターを貯金を使って買ってくる。だがすでに母は亡くなっていた。
再び叔父の元に送られたイングマルは一人暮らしの祖母と夜だけ寝にゆく生活を強要される。イングマルは家を飛び出して反抗するがシッカンが来るならいいと言う。叔父は了承するがシッカンはすでに処分されていた。サガは成長したオッパイをイングマルに見せ新しいボクシンググローブをプレゼントする。二人は同じクラスで学ぶことになる。叔父さんの所にテレビが入る。サガも誘われて一緒にテレビを見るがこの時の叔父の態度からシッカンの事情を知る。
ある日パーティーでクラスの女子とサガがイングマルを取り合うという修羅場になるのだがサガの足に抱きついたイングマルにサガはシッカンは死んでいるという言葉を浴びせる。とうとうおかしくなったイングマルはワンワンと吠えながらサガにパンチを繰り出す行動をとる。二人はリングに移動し試合をするがイングマルは激しくパンチを浴びリングから下へ落下する。
その夜イングマルは東屋で寝ることになった。母が激怒する夢を見るイングマル。叔父が朝訪れるとイングマルは泣いていた。その頃変人のフランソンが氷の中を泳ぎ始めていた。皆んなでフランソンを助け出しガラス工場で暖をとらせる。
春が来て村人のいつもの暮らしが始まる。ラジオでボクシングの試合が中継される。スウェーデンが勝った。サガとイングマルは抱き合って眠っている。
イングマルはスプートニクのライカ犬の事をしきりに気にしていたし自分の愛犬も今回の騒動で失って いる。だが映画を見る限りイングマルの前半生は犬になぞらえるほど悲惨ではなかった。いい国に生まれたお陰である。