失われた時を求めて (12)

このような文章でお気に入りの作家ベルゴットの事が語られる。以下引用文。(吉川一義訳)

《ベルゴットのことをはじめて聞いたのは、年上の仲間のひとりで、私が大いに称賛していたブロックからであった。》

《J’avais entendu parler de Bergotte pour la première fois par un de mes camarades plus âgé que moi et pour qui j’avais une grande admiration, Bloch.》

このあとブロックとの交流が語られ、変わった人柄ゆえにヴェイユ家の人々(母の旧姓)から拒絶された顛末も記される。その後にベルゴットの作品の素晴らしさが語られる。これはプルーストの文体に大きく影響を与えていると思われる。

スワンの口から聞いたことによると、かのプルーストが崇拝するベルゴットは、スワンの娘の友人であり、毎週スワン家で夕食を摂り、よく娘と古い町を巡っているという。プルーストは卒倒しそうになるが、その時からスワンの娘への妄想を膨らませて行くのだった。