映画 山河遥かなり (1948)

1946年のドイツにおける米国占領地区に戦災孤児らがぞくぞくと送られて保護される。中には両親と生き別れになりアウシュビッツに収容されていた子供もいた。この映画はチェコ中流家庭の家族がナチスに迫害され、父と娘は殺され生き残った少年と母が長い別離の末に邂逅するという物語になっている。サブストーリーというほどではないがユダヤ人の孤児たちがイスラエルに送られてゆく話も挿入される。言葉の問題、米国の移民制限、孤児たちの精神的トラウマなどのテーマが真面目に取り上げられており、廃墟の実写場面も使われているようである。米兵が親身になって主人公の少年の世話をしてゆくうちに、米国につれて帰ろうと思うようになる。母親がすでに死んでいるならばそれも良い選択肢だが、子を探す母親の執念が幸運と結びついてついに母子が対面することになる。

実際には施設の子供のいくばくかは兵士に引き取られ米国に渡っていると思われる。そういった連合軍の資料を探すのは難しい。この映画のようなケースの方がレアのような気がする。この映画は白黒で、オーケストラ音楽は書き下ろしで、トーキーだが一部無声映画の手法がとられている。大変古めかしい。アマゾンプライムで視聴した。